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其の参 地方で違う酒の味
今回は前回の「清酒の味の違い」をちょっと掘り下げてみましょう。

原材料は「字」にして見ると、ほとんど同じですが、各地方によって、米が違い、水が違い、杜氏の技が違うのですから、当然、地域によって味の差があるんです。新潟には新潟の味、広島には広島の味がして当然。

ですが、現在、果してそれだけの差異を感じることができるでしょうか。

瀬戸内海沿岸の諸県は一般的に甘口で、新潟や高知は辛口の酒が多いとよく言われます。同じ広島杜氏の流れを汲む広島と高知の酒を比べてみましょう。

瀬戸内の牡蠣やオコゼ、カサゴなど淡泊な磯魚の料理には、ふくらみのある穏かな酒が似合います。一方、高知の皿鉢料理に出てくる刺し身はカツオにしても大ぶりな切り身。ネギやショウガ、ニンニクといったきつい薬味を使って食べます。

そう、柔らかな広島の酒では負けてしまうんですよね。

口の中の魚のにおいを洗い流してくれるような、辛口で切れのいい酒がどうしても欲しくなる訳です。

箸拳(手に持った箸の数を当てるじゃんけんに似た遊び)で負けたものが一杯飲まされるような、豪快な酒の飲み方を生んだ風土です。甘口の酒では量がいかない。やはりさっぱりと引き際のいい辛口酒が本流となる訳です。

これはどこの国でもそうですが、お酒という飲み物は味的にも機能的・効能的にも、その土地の食べ物や風土に合ったものが好まれ、受け継がれてきているものです。

もちろん日本酒も例外ではありません。

その土地の郷土料理とその土地の日本酒。これは最高のパートナーなんですね。


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